お米をお湯で洗うのはNG?冷水に耐えられない時の対処法

無農薬米ブログ

お米を洗う時、冬は水の冷たさがつらいですよね。なんとか回避したくても、お米は毎日のように食べる食品ですから、1ヶ月に1回しか洗わない、冬の間は炊かないなどという対策は現実的ではありません。

お湯で洗ってはいけないの?という声も聞こえてきますが、お湯で洗うと美味しさが損なわれてしまうことがあるので注意が必要です。

この記事では、以下のようなお声にお応えします。ぜひ最後までご覧ください。

  • 冷たい水でお米を洗うのがつらい
  • お米の正しい洗い方が知りたい
  • お米を洗う時に手が冷たくない方法を知りたい

お米をお湯で洗うのはNG?

お米を水で洗わなければいけない、というのは本当に事実でしょうか。単なる昔からの言い伝えや迷信なのでは?と思う方もいるかもしれませんね。なぜお米を洗うのは水なのか。お湯ではいけないのか。その理由は次の4点にありました。1つずつ確認していきましょう。

  1. 糠(ぬか)の脂肪酸が酸化してしまう
  2. 一気に吸水してしまう
  3. デンプンが溶けだしてしまう
  4. 表面のデンプンが糊化(こか)してしまう

1.糠(ぬか)の脂肪酸が酸化してしまう

一つ目の理由は、糠(ぬか)に含まれる脂肪酸が酸化してしまうことです。

糠とは、玄米の表面を覆う層のこと。糠がほとんど取り除かれた白米であっても、「肌糠(はだぬか)」と呼ばれるうっすらした糠の層が残っている場合があります。

お湯によって温度が上がると、糠に含まれる脂肪酸が酸化しやすくなり、イヤなニオイが発生して炊き上がりの品質に影響を与えてしまいます。

2.一気に吸水してしまう

二つ目の理由は、お米がお湯に触れると一気に吸水してしまうことです。

非常に乾燥した状態で保存されているお米。もちろん冷たい水も吸収しやすいですが、温度の高いお湯であれば、より吸収のスピードが速くなります。

そのお湯にイヤなニオイや汚れが溶け込んでいた場合、ニオイや汚れごとお米の内部に入ってしまうことになり、お米本来の風味が損なわれかねません。

3.デンプンが溶けだしてしまう

三つ目の理由は、お湯によってデンプンが溶けだしてしまうことです。

私たちがお米を食べる時、噛めば噛むほど甘みが出ておいしく感じるのは、お米に含まれるデンプンを唾液中の「アミラーゼ」という酵素が分解して糖に変えているから。

実はこの「アミラーゼ」、唾液の中だけではなく、もともとお米の中にも存在しています。アミラーゼが活発に働くのは25~40℃。お米がお湯に触れることで温度が上がると、お米の中にあったアミラーゼがデンプンを糖に分解し始め、その糖がお湯に溶けだしてしまうというわけです。

このようなお米は甘みの元になるデンプンが少なくなっているわけですから、炊いても味は半減です。

4.表面のデンプンが糊化(こか)してしまう

四つ目は、お米の表面のデンプンが溶けて糊化(こか)してしまうことです。

デンプンは60℃に近づくとドロドロとした糊状に溶けはじめます。

温度の高いお湯にお米が触れれば表面のデンプンが溶け、お米全体を糊がガードするような状態になります。それによってお米の吸水が妨げられ、中心部まで水が浸み込みません。

そんな状態のお米を炊けば、外はべちゃべちゃ、中はカチカチの不味いごはんになるのは当然です。

結論!お米は水で洗おう

お米をお湯で洗うことは、美味しさを損ねるリスクがあります。水で洗うことこそ、お米を美味しく食べるための1つの秘訣だったのです。

【お米をお湯で洗うのがNGな理由】

  • 糠(ぬか)の脂肪酸が酸化してしまう
  • 一気に吸水してしまう
  • デンプンが溶けだしてしまう
  • 表面のデンプンが糊化(こか)してしまう

お米をお湯で浸水するのはNG?

お米をお湯で洗うと美味しさを損ねてしまうことは分かりました。

では、お米をお湯で浸水するのはNGなのでしょうか。冷たい水よりも温かいお湯の方が浸透しやすそうで、ふっくら炊き上がるような気がしなくもありません。

結論からお伝えすると、お米をお湯で浸水するのはNGです。次の2つの理由を順に解説していきます。

  1. デンプンが溶けだしてしまう
  2. 中心まで吸水されなくなってしまう

1.デンプンが溶けだしてしまう

お米にお湯が触れると、温度が上がってアミラーゼという酵素が活発に活動し、結果としてお米のデンプンが水に流れ出してしまうことは先ほど説明したとおりです。

「洗う」という動作がなくても、ただ温かいお湯にお米が浸っているというだけでアミラーゼの働きを促すため、お湯での浸水はおすすめできません。

2.中心まで吸水されなくなってしまう

お米のデンプンが60℃に近づくと糊上に溶けてしまうことも、先ほどの説明と同様です。

温度が高い方が水を吸いそうという思い込みで、うっかりお米をお湯に浸けてしまうと、お米の表面のデンプンが糊上に変化して粒全体を覆い、それ以上の吸水を妨げます。その結果、表面がべちゃべちゃで芯の固いごはんになってしまいます。

結論!お米は水で浸水しよう

お米をお湯で浸水すると、炊き上がりが美味しくなるどころか、不味いごはんになってしまいます。お米は水で浸水することをおすすめします。

【お米をお湯で浸水するのがNGな理由】

  • デンプンが溶けだしてしまう
  • 中心まで吸水されなくなってしまう

お米をお湯で炊くのはNG?

お米を洗ったり浸水したりする時に、お湯を使うのはNGだと分かりました。

では、お米を炊く時はどうでしょうか。どちらにせよ加熱するのですから、最初からお湯を入れれば加熱時間が短縮されて、速くお米が炊き上がるような気がしなくもありません。

結論からお伝えすると、炊く時にもお湯を使うのはNGです。次の2つの理由を順に確認していきましょう。

  1. 甘みが引き出されなくなってしまう
  2. 食感が悪くなってしまう

1.甘みが引き出されなくなってしまう

最初からお湯を使って炊くと、お米の甘みが十分に引き出されなくなってしまいます。

炊飯の工程は、最初に水を沸騰させることから始まります。沸騰までの間にデンプンが糖に分解されて甘みが出るため、沸騰までの時間が長いほど甘いごはんに仕上がるというわけです。最初からお湯を入れればすぐに沸騰してしまい、お米の甘みが引き出される前に炊き上がってしまいます。

逆にいえば、沸騰までに時間がかかるように冷水を使って炊いたり、氷を一緒に入れて炊いたりすれば、甘みが十分に引き出された美味しいごはんに仕上がりますので、ぜひ試してみてください。

2.食感が悪くなってしまう

お米をお湯で炊くと、食感が悪くなってしまう懸念もあります。

これまで何度もご紹介したとおり、お米のデンプンが60℃のお湯に触れるとデンプンが溶け、米粒の表面にまとわりつきます。そうなれば、炊飯中もお米に吸収されるはずだった水分が吸収されなくなり、芯が硬くて食感の悪いごはんになってしまうのです。

結論!お米は冷水で炊こう

お米をお湯で炊くと、せっかくのお米も美味しく仕上がりません。炊飯時は水、特に冷水を使うことをおすすめします。

【お米をお湯で炊くのがNGな理由】

  • 甘みが引き出されなくなってしまう
  • 食感が悪くなってしまう

正しいお米の洗い方

お米はお湯ではなく水で洗うことが大切。ただし、洗い方を間違えれば理想の炊き上がりから遠ざかってしまいます。白米・無洗米・玄米の正しい洗い方をそれぞれ確認していきましょう。

白米の洗い方

白米を洗う目的は、表面にうっすらと残った「肌糠」を取り除くこと。ごしごしと擦る必要はありませんが、軽い摩擦で適度に肌糠を落とします。

【準備するもの】

  • 白米
  • ボウル
  • ザル(必要に応じて)

【白米の洗い方】

  1. ボウルに白米を入れます。ザルがあった方がやりやすい方は、ボウルとザルを重ねてから白米を入れます。白米が泳ぐ量の水を加え、白米を水の中で舞い上げるようにして3回ほど混ぜたら、すぐに水を捨てます。
  2. 水を捨てた状態で白米を10回ほど混ぜます。この時、手は小さなボールを握るような、指を軽くすぼめた形にして洗うと適度に白米同士の摩擦が起こります。
  3. たっぷり水を注ぎ入れ、水の中で白米を舞い上げるように3回ほど混ぜて洗ったら水を捨てます。
  4. 2と3を3回ほど繰り返します。3の工程で、水に少し濁りが残る程度になればOKです。水が透明になるまで洗う必要はありません。
  5. しっかり水を切って完了です。

無洗米の洗い方

無洗米は、白米よりもさらに精米度が高く、肌糠も落としてある状態のお米です。本来は洗う必要はありませんが、気になる方はさっと水に通す程度に洗うといいでしょう。

【準備するもの】

  • 無洗米
  • ボウル
  • ザル(必要に応じて)

【無洗米の洗い方(洗わないことが気になる場合のみ実施)】

  1. ボウル、もしくはボウルとザルを重ねたものに無洗米を入れます。
  2. 無洗米が泳ぐ程度の量の無地を入れ、そこから持ち上げるように3回ほど混ぜます。
  3. すぐに水を捨て、しっかり水を切ったら完了です。

玄米の洗い方

玄米は、白米や無洗米と違って糠がすべて付いています。糠のニオイや玄米の硬い食感が好きな場合はさっと洗うだけで問題ありませんが、ニオイを軽減したい・柔らかく炊き上げたいという場合はしっかり洗うのがおすすめです。ここではしっかり洗う方法をご紹介します。

【準備するもの】

  • 玄米
  • ボウル
  • ザル

【玄米の洗い方】

  1. ボウルとザルを重ね、玄米を入れます。玄米が泳ぐ量の水を入れ、玄米を舞い上げるようにして3回ほど混ぜたら、すぐに水を捨てます。
  2. 水を捨てた状態で、玄米をザルに軽く押し付けるようにして10回程度こすります。
  3. たっぷり水を入れて舞い上げるように混ぜ、水を捨てます。
  4. 2と3を3回ほど繰り返し、しっかり水を切ったら完了です。

【関連記事】
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お米を水で洗うと冷たくてつらい!そんな時の対処法3選

美味しさのためにはお米を水で洗うのがいいと分かっても、やはり冬は冷たくてつらいもの。水の冷たさを感じなくてすむ対処法を3つご紹介します。

専用グッズを使う

一つ目は専用のグッズを使う方法です。冷たい水に触りたくないという願いはもちろん、短時間で洗えたり、お米に直接触れないことで肌や爪を保護したりするメリットもあります。

専用グッズには大きく2つの形状が存在します。使い方や大きさを比較し、ご自身にとって扱いやすいタイプを選びましょう。

スティック型のグッズ

もっともよく見るのがスティック型の洗米グッズです。

使い方はとても簡単。ボウルなどにお米と水を入れ、スティックでかき混ぜるようにしてお米同士の摩擦をおこし、洗っていきます。

スティックの先が荒い網目状になっていたり、大きなフォークのようになっていたりと、適度な摩擦を起こすための工夫が凝らされています。

スティックタイプは収納スペースも少なくてすむため、道具が多いキッチンでも取り入れやすいのがポイントです。

カップ型のグッズ

次に多いのがカップ型の洗米グッズです。

お米と水を入れてシェイクすることでお米同士に摩擦を起こして洗米するものや、お米を入れたカップに勢いよく水を入れることで摩擦を起こすものもあります。

お米の量によってはカップを持ち上げるのが重く感じることもあるため、少量のお米を洗う時におすすめのグッズです。

20℃程度の水を使う

二つ目は20℃程度の水で洗う方法です。

水でお米を洗うのがいいといっても、なにもキンキンに冷えた冷水で洗う必要はありません。デンプンが溶けださない程度の温度の水で洗えば問題ありませんから、温度調整できる場合は20℃程度に設定すればOK。

冬でも冷たくなく、むしろ少し温かく感じる程度なので快適ですよ。

無洗米を使う

三つ目は無洗米を使う方法です。

白米や玄米はお米を洗う工程を避けて通れませんが、無洗米は別。洗う必要のないお米として作られているため、手を水につけることなく浸水の工程に進めます。

気になって洗う場合にも、指でさっと混ぜる程度で終るため、水に触る時間は格段に少なくなりますよ。

まとめ

お米をお湯で洗うと、以下の理由で美味しさが損なわれてしまいます。水で洗って浸水や炊飯に向かえば、美味しく炊き上げることができますよ。

【お米をお湯で洗うのがNGな理由】

  • 糠(ぬか)の脂肪酸が酸化してしまう
  • 一気に吸水してしまう
  • デンプンが溶けだしてしまう
  • 表面のデンプンが糊化(こか)してしまう

どうしても手を水につけて洗うのがつらい場合は、専用グッズや無洗米を使用して、水に触れる時間を減らすのがおすすめです。ご自身に合った方法を試してみてくださいね。

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