なぜ新潟のコシヒカリは美味しいの?歴史や特徴も詳しく解説

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お米の生産量が多いことで知られる新潟。農林水産省の調査によると、2021年の収穫量は620,000tで日本一でした。もちろん自慢なのは収穫量だけではありません。「新潟のお米は本当においしいね」と、多くの方から声をいただいています。特に有名な品種がコシヒカリです。

なぜ新潟のコシヒカリはおいしいのでしょうか?

そこには恵まれた環境だけではなく、多くの農家の苦労がありました。今回は新潟のコシヒカリがおいしいと言われる3つの理由と、歴史を紐解きます。新潟県産コシヒカリの種類と特徴もまとめました。読んだらお米が食べたくなるかも…?

新潟のコシヒカリがおいしい3つの理由

お米の出来栄えは、環境によって大きく変わります。思わず「おかわり!」と言ってしまうほどおいしい理由は、次の3つです。

  1. 自然に恵まれているから
  2. お米にとって最適な気候だから
  3. 歴史ある米農家が多いから

小さい頃から当たり前のように食べていたコシヒカリ。当時は食べ比べたことがなかったため、なにが特別なのか理解できなかったのが正直なところです。

しかし作り手として栽培に従事し、他県のお米と食べ比べるようになってから、おいしい理由がわかりました。

1.自然に恵まれているから

お米のおいしさを左右する要素が水です。新潟には平成の名水百選に選ばれた荒川や、鮭のふるさととして知られる三面川などがあり、各地域の上流から上質な水が流れてきます。

また下流には、豊富な栄養分を含む土壌でできた平野が広がっていて、2つが合わさるとコシヒカリの栽培に最適な環境になるのです。

2.お米にとって最適な気候だから

おいしいお米を作るためには、気候も重要です。稲が成長する時期の新潟の平均気温は、実りに最適な25度。台風や冷害も少ない地域です。また冬には中間部を中心に雪が降り、春になると山から腐葉土の養分をたっぷり含んだ雪解け水が、川を通じて流れてきます。

このような気候が、お米に最適な環境を作り上げるのです。コシヒカリは、まさに大自然の恵みがくれた産物といえるでしょう。

3.歴史ある米農家が多いから

環境や気候も大切ですが、作り手の技術も欠かせません。新潟の米作りの歴史は古く、おいしく作るための技術が代々受け継がれて、現在に至るのです。歴史については、次章で詳しく解説します。

そしてさらにおいしく作るため、今でも多くの米農家が試行錯誤を重ねながら、お米作りに励んでいます。こうした日々の努力も、おいしいお米が実る理由といえるでしょう。

お米の生産量が日本一の新潟県!その歴史とは?

お米の生産量が日本一の新潟県ですが、代表的な品種がコシヒカリです。

一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。コシヒカリが新潟県を代表するお米になるまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。その歴史を見ていきましょう。

始まりは昭和19年

始まりは昭和19年、戦時下の混乱最中までさかのぼります。この時期は食糧不足にならないために、質よりも量が重視されていた時代でした。しかし新潟県農事試験場(農林省指定水稲品種育成試験地)では、量だけでなくおいしさも追求したお米を目指します。

まず「農林22号」と「農林1号」、2つの品種を掛け合わせました。農林22号は多くの米農家が恐れるいもち病に強い品種。そして農林1号は戦前の主力品種で収穫量も多く、味も良いとされていた品種です。

いもち病に強くておいしいお米作りを目的に交配した結果、誕生したのが越南17号、後のコシヒカリです。

実は品種改良の目的を達成できなかったコシヒカリ

交配によって誕生したお米は、越南17号だけではありません。他にも越南14号や越路早生など合わせて5品種が誕生します。

しかし実は、いもち病に強くなるという目的を唯一達成できなかったのが越南17号でした。5品種の中で一番の劣等生だったのです。味や品質は良いものの、目的を達成できなかった越南17号は捨てられることも検討されました。

しかし、他の地で活用できるかもしれないと考え、全国の試験場に施策を依頼したのです。その結果、他の品種に比べて倒れても稲が傷まず、実りも豊かなことが判明。稲を刈り取った技師が「稲が生きている」と表現するほど、稲はしっかりと穂を支えていたのです。

こうして越南17号は、農林省新品種候補審査会に出品されます。いもち病に弱いことから登録は見送られるかと思われましたが、新潟県の強い意志、そして千葉県でも奨励品種として採用されたことが後押しとなり、農林100号として農林省に登録されることが決まったのです。

越南17号は、穂の色やご飯の色が大変美しい品種でした。そのため「越の国(=北陸)に光り輝く品種」として、越南17号は「コシヒカリ」と命名されたのです。

「日本一うまいコメづくり運動」を経てトップの座へ

コシヒカリの誕生後、味や品質の良い品種が中心となった新潟県の米評価は上がっていきました。しかし戦中戦後の食料増産時代の中で評価は再び低下。昭和30年代に入ると、新潟の米評価は極めて低い結果となります。そこで昭和37年に、当時の新潟県知事が「日本一うまいコメづくり運動」を開始しました。

コシヒカリを中心に味の良い品種への統一、健康的な稲づくり、徹底した品質保証などに取り組んだのです。その結果、昭和38年にはコシヒカリの作付面積が約2万ヘクタールまで拡大。

その後は紆余曲折ありながらも、昭和49年には「良質米生産の早植え・安定機械化制御技術の開発研究」がスタートし、コシヒカリの栽培マニュアルが完成。

自主流通米への各種助成があったことも追い風となり、昭和55年には作付け面積が5万ヘクタールを突破。コシヒカリは全国的に知名度を上げ、お米の王様として君臨することになりました。

新潟産コシヒカリの種類と特徴

新潟では各地でコシヒカリが栽培されていて、産地によって種類と特徴が異なります。主な銘柄は、次の4つです。

銘柄特徴
魚沼もっちりとした粘り気が特徴。食べ応えがある。
岩船粘り気は少ないが歯ごたえが抜群。
佐渡粒が大きく炊き上がりがふっくら。
新潟一般他のコシヒカリに比べて甘みが強い。

独特の甘みと粘りが特徴のコシヒカリですが、産地によっても違いがあるのです。食べ比べてみたら楽しいかも?

魚沼産コシヒカリの特徴

魚沼産コシヒカリの特徴は、もっちりとした食感。粘りが強く、食べ応えがあります。甘みも強く、炊き上がりの湯気からも甘い香りを感じられるほど。十分な水分を含んでいるため、冷めてもパサパサになりません。お弁当やおにぎりに最適なコシヒカリです。

 

岩船産コシヒカリの特徴

岩船産コシヒカリの特徴は、他に比べると粘り気は少ないものの、抜群の歯ごたえを持っていることです。コシヒカリならではの甘みもあり、噛めば噛むほど口の中で旨味が広がるでしょう。また農薬や化学肥料の使用量を抑え、安心安全を追求しています。

 

佐渡産コシヒカリの特徴

佐渡産コシヒカリの特徴は粒の大きさです。炊き上がりはふっくらしていて、ツヤツヤピカピカ。甘みと旨味が抜群で、和食との相性ぴったりのお米です。コシヒカリといえば有名なのは魚沼産や岩船産ですが、ミネラルたっぷりの潮風に吹かれて育てられた佐渡産コシヒカリも、高い評価を受けています。

新潟一般コシヒカリの特徴

新潟一般コシヒカリの特徴は、甘みの強さです。他のコシヒカリに比べて甘みが強く、濃い味のおかずにも負けない存在感を放っています。気付いたらご飯だけなくなっていることも。粘りも強く冷めてもおいしく食べられるため、魚沼産コシヒカリ同様おにぎりやお弁当にぴったりです。

まとめ

私たちの食卓に欠かせないお米。おいしいお米を全国に届けるため、多くの試練を乗り越えて作られたのがコシヒカリです。独特の甘みと粘りを持つコシヒカリは多くの人に愛され、今でもトップの座に輝いています。

おいしいお米が食べたいと思ったら、新潟県産コシヒカリを試してみてはいかがでしょうか。きっとその違いに驚くはず。当社「米工房いわむろ」でもコシヒカリを栽培しています。減化学肥料減農薬にこだわった安心安全なコシヒカリを、ぜひ味わってみてくださいね。

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