お米と聞くと、真っ先に名前が浮かぶほど有名な「コシヒカリ」。同じくらい全国的な知名度を誇るのが「あきたこまち」です。
どちらもファンが多いブランド米ですが、味の違いや特徴を説明できる人は少ないのではないでしょうか?
新潟県の米農家「米工房いわむろ」が、あきたこまちとコシヒカリの違いをわかりやすく解説します。
あきたこまちとは
1984年に秋田県で生まれた品種。秋田県が5年以上かけて開発を行い「コシヒカリ」と「奥羽292」を交配させています。
晩生種のコシヒカリは秋田県での栽培には向かなかったという背景から、早熟である点が特徴。輝くツヤと透明感があり、香りが高いと人気を集めています。
食味ランキング最上位の「特A」ランクに度々選出され、安定した品質が魅力です。
あきたこまちの名前の由来
秋田県湯沢市にルーツを持つとされ「世界三代美人」で知られる平安時代の歌人「小野小町(おののこまち)」にちなんで命名されました。
秋田で育った美味しいお米として、小野小町のように末長く愛されるようにとの想いが込められています。
あきたこまちとコシヒカリの違い
味や食感
あきたこまちは、コシヒカリ由来の甘みを持ちつつもややあっさりした味わいで、粘りは少ないのが特徴。ほのかに香ばしい香りが立ち、旨味・甘みのバランスが良いです。
一方でコシヒカリは、もっちりとした粘り気と甘み・旨味が特徴のお米です。「アミロース」「アミノペクチン」というデンプン質のバランスが良いとされており、ほどよい粘りと歯ざわりがあります。
値段
秋田県産あきたこまちと新潟県産コシヒカリの価格は、通販サイトで比較すると新潟県産コシヒカリの方がやや高い傾向に。
銘柄 | 秋田県産あきたこまち(5kg/精米) | 新潟県産コシヒカリ(5kg/精米) |
価格(税込) | 2,500円〜4,000円 | 3,000円〜6,000円 |
コシヒカリは5kgあたり500円〜1,000円程度高いですが、減農薬・減化学肥料の特別栽培米となるとあきたこまちの方が高い場合もあります。
産地
あきたこまちとコシヒカリは、福井県をルーツに持つという共通点があります。
誕生後に秋田県で育てられたのがあきたこまち。新潟県で育てられたのがコシヒカリです。
今では両品種ともに、全国各地で栽培されています。
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歴史
あきたこまちは、1975年に福井農業試験場にて育種されていた品種の中にあったお米を秋田県農業試験場の研究員が持ち帰って選抜。「コシヒカリ」と「奥羽292」を交配させてできたお米です。
1984年に当時の秋田県知事が記者会見し「あきたこまち」がお披露目されました。
コシヒカリは、新潟県で「農林22号」と「農林1号」を掛け合わせた品種が生まれ、福井県での育種を経て、試作品である「越南17号(現:コシヒカリ)」が誕生。
その後、1956年に新潟県が奨励品種として申請し、正式に登録されました。
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あきたこまちとコシヒカリはどんな人におすすめ?
それぞれの特徴を知った上で、あきたこまちとコシヒカリのおすすめの食べ方をお伝えします。あくまで一例なので、食べ比べをしながら自分好みのスタイルを見つけてください。
おかずと一緒に美味しく食べたい方はあきたこまち
あきたこまちは、ややあっさりとして香り・旨味・甘みのバランスが良いので、どんな料理とも好相性です。おかずを引き立ててくれる安定感が、食卓で愛されている理由の一つ。カレーやカツ丼などの、味の濃いものと合わせて美味しく食べたい時にもおすすめです。
お米の旨味をシンプルに味わいたい方はコシヒカリ
お米を主役とし、シンプルに米本来の旨味を味わいたい方はコシヒカリを食べてみましょう。漬物、焼き魚と合わせてもよし、塩むすびとしてもよし。もちろんおかずに合わせても、美味しくいただけます。食べ応えのある粒感と、しっかりとした粘りを楽しんでください。
他にもまだある! コシヒカリ系統品種を紹介
最後に、あきたこまち以外のコシヒカリ系統品種をご紹介します。コシヒカリ由来でありながらそれぞれの特徴が異なるので、気になるお米はチェックしてみましょう。
ひとめぼれ
宮城県が主産地で「見た目の美しさと味の美味しさに『ひとめぼれ』し、たくさんの人に愛されてほしい」と命名されています。「コシヒカリ」とコシヒカリの子である「初星」を交配し、食味と耐冷性を両立。バランスがとれており、多くの人に愛されているお米です。
ミルキークイーン
1985年、今までにないお米を開発しようと「スーパーライス計画(農水省)」が立案され、コシヒカリをベースに改良された低アミロース品種です。もち米のように粘りが強く、もっちりした食感が魅力。低アミロース品種はアミロペクチンを多く含み、冷めても固くなりにくいという特徴があるので、お弁当やおにぎりにも重宝されています。
ヒノヒカリ
西日本を中心に生産されているヒノヒカリは「コシヒカリ」と「黄金晴(コガネバレ)」の交配によって宮崎県で誕生。粒は小さいですが、弾力と食べ応えがあり、九州では多くの家庭で食べられています。口の中で甘みとコクが広がり、味の濃いものと相性が良い品種です。
まとめ
あきたこまちの誕生背景にはコシヒカリの存在があり、その他の品種を見ても、お米には親戚関係のような縁があることをわかっていただけたでしょう。
それぞれの特徴の違いや共通点を感じながらお米を味わってみると、より一層食事が楽しくなります。
米工房いわむろは、新潟県産コシヒカリを生産・販売しています。中でも「匠米(たくみまい)」は田んぼの中はもちろん、畦畔にも農薬・化学肥料を使わずに栽培したコシヒカリです。岩室地域の美味しい水と豊かな土壌が育んだお米を、ぜひ一度味わっていただけたら嬉しいです。
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