玄米は精白米と比べるとタンパク質やビタミン類・ミネラルなどが豊富で食物繊維も多く含み、必要な栄養素をほぼ摂取できるため「完全栄養食」とも呼ばれています。
健康のために大人だけではなく「離乳食で赤ちゃんに食べさせたい」「子供にも食べさせたい」と思うお母さんやお父さんも多いのではないでしょうか。
しかし、玄米は赤ちゃんや子供に食べさせてもいいのか、アレルギーなどは大丈夫なのか心配ですよね。
本記事では、玄米は離乳食であげてもいいのか、何歳から食べてもいいのか紹介しています。
子供に食べさせる場合の注意点やポイントも合わせて紹介していますので、参考にしてみてください。
玄米とはどんなお米?玄米は食物繊維・栄養豊富な完全栄養食
玄米はお米のもみ殻のみを取り除き、お米の胚芽や糠(ぬか)の層が残っている状態の精米されていないお米のことです。
精米済みの白米よりもビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。
玄米を食べるだけで健康を保つための栄養素を摂取できるので「完全栄養食」とも呼ばれています。
また、健康に良いだけではなく、美容やダイエットにも効果的な食材なので健康面や美容面を意識する方にはおすすめの食材です。
玄米を食べるメリット
玄米は健康面で身体に良いとは知っているけどどうして身体に良いの?と気になりますよね。玄米を食べることで得られるメリットは以下の通りです。
- 食物繊維を摂取できる
- 不足しがちなビタミンやミネラルを補える
- ダイエットに効果的
- 美容に良い成分を含んでいる
玄米は、食べるだけで不足しがちな食物繊維や豊富な栄養素を摂取できます。
また、ダイエットの効果や美容にも期待できるいいこと尽くしな食材です。
それぞれについて以下で詳しく見ていきましょう。
食物繊維を摂取できる
玄米は食物繊維が豊富で玄米100gあたり、3.0gの食物繊維が含まれています。
白米は100gあたり、0.5gの食物繊維しか含まれていないので玄米は白米に比べ6倍の量の食物繊維を摂取可能です。
お米の種類 | 含まれる食物繊維の量 |
白米100g | 0.5g |
玄米100g | 3.0g |
また、成人は1日あたり24g以上の食物繊維を摂ることが理想ですが、令和元年国民健康・栄養調査では実際の摂取量は18.4gと理想より低く、不足しています。
食物繊維の摂取量が不足すると腸内環境が悪くなり、便秘になったり大腸がんのリスクが高くなったりします。
玄米は手軽に食物繊維を摂れ、便秘も解消の効果も期待できるためおすすめです。
不足しがちなビタミンやミネラルを補える
お茶碗1杯分(150g)の玄米に含まれる栄養素は以下の通りです。
栄養素の種類 | 単位 | 精白米 | 玄米 | 栄養素の主な働き |
エネルギー | kcal | 342 | 346 | |
タンパク質 | g | 6.1 | 6.8 | 身体をつくる。各種酵素・ホルモン・神経伝達物質の働きをする。 |
脂質 | g | 0.9 | 2.7 | 身体をつくる。体温を保つ、脳の働きを正常に保つ。皮膚・骨・神経・細胞の保護。ビタミンを運び消化吸収を補助する。 |
炭水化物 | g | 77.6 | 74.3 | 生命維持・成長に不可欠なエネルギー。 |
食物繊維 | g | 0.5 | 3.0 | 腸の働きを促し、有害物質を消化器官を通して排出する働きをする。 |
ミネラル | g | 0.4 | 1.2 | 身体の生理機能に関わる。 |
ビタミンE | mg | 0.1 | 1.4 | 抗酸化物質。細胞を守る。 |
B1 | mg | 0.08 | 0.41 | 神経機能を正常に保つ。 |
B2 | mg | 0.02 | 0.04 | 身体全体の正常な健康状態の保持に必要不可欠。 |
ナイアシン | mg | 1.2 | 6.3 | 循環系・消化器系・神経系の働き促進。 |
ビタミンB6 | mg | 0.12 | 0.45 | アミノ酸の代謝、神経伝達に必要。 |
葉酸 | ㎍ | 12 | 27 | 新しい細胞をつくる際に必要。 |
パントテン酸 | mg | 0.66 | 1.37 | 3大栄養素の代謝を助ける。エネルギー生産の補助。 |
ビオチン | ㎍ | 1.4 | 6.0 | 酵素の生産。脂肪酸やコレステロールの代謝を助ける。 |
ナトリウム | mg | 1 | 1.0 | 神経・筋肉の活動に必要。 |
カリウム | mg | 89 | 230 | 脳・神経での神経伝達で重要な働きをする。 |
カルシウム | mg | 5 | 9 | 骨・歯をつくる。細胞膜に必要不可欠。神経伝達の補助。 |
マグネシウム | mg | 23 | 110 | タンパク質の合成、エネルギー代謝に関わる生体機能に不可欠。 |
リン | mg | 95 | 290 | 生体エネルギーに不可欠。DNAなどの情報伝達に重要。 |
鉄 | mg | 0.8 | 2.1 | 酵素が必要な身体の組織に酵素を運ぶ。 |
亜鉛 | mg | 1.4 | 1.8 | 細胞分裂の際、酵素に必要。 |
銅 | mg | 0.22 | 0.27 | 体内の電子伝達や酸素を運ぶ働き。 |
マンガン | mg | 0.81 | 2.06 | さまざまな酵素の構成成分。酵素の活性化。 |
セレン | ㎍ | 2 | 3 | 活性酸素や一部イオンから身体を護る。 |
モリブデン | ㎍ | 69 | 65 | 鉄の働きを助ける。血液の健康に関与。 |
玄米には、食物繊維だけでなくビタミンE・ビタミンB群・鉄・マグネシウム・カリウム・マンガン・亜鉛などのビタミン類やミネラルが豊富に含まれています。
ビタミンやミネラルは健康を維持するためにも意識して摂取したいですが、現代の日本人は不足しているのが現状です。
しかし、普段食べている白米を玄米に替えるだけで不足しがちな栄養素も手軽に摂れます。
ぜひ、主食を玄米に替えてみてはいかがでしょうか。
ダイエットに効果的
玄米は硬いのでよく噛むなければいけません。
よく噛むことで消化・吸収が良くなるだけでなく満腹中枢が刺激され、満腹感を感じやすくなります。
少量でも満腹感を感じられるので食べる量を減らせ、ダイエットにも効果的です。
また、必要な栄養素も合わせて摂取できるので無理なくダイエットに取り組めるでしょう。
美容に良い成分を含んでいる
玄米には美容に良いとされるビタミンB6・ビタミンE・フェルラ酸などの成分が含まれています。
また、食物繊維が豊富なので腸内環境も改善されお通じも良くなり便秘改善の効果も期待できます。
便秘になるとお肌がカサついたり、ニキビや吹き出物ができたりしてしまうので、美容のためにも便秘は改善したいですね。
白米を食べるより、玄米を食べたほうが美容効果を期待できるので食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
玄米は消化に悪い?離乳食で食べさせるのはダメ!
離乳食で玄米を食べさせるのはNGです
。玄米は硬く繊維質で水分を含みにくく、水分を多めしてに炊いてもあまりやわらかくなりません。
そのため、歯が生えそろっていない赤ちゃんには不向きです。
玄米粥にすれば玄米の硬さは解消できますが、食物繊維の多い玄米は消機能がまだ発達していない乳児には胃腸に負荷が大きいです。
上記の理由から、玄米を赤ちゃんに食べさせるのは控えましょう。
玄米は消化機能が整う3歳頃から食べられる
玄米を子供に食べさせるのは、硬いので奥歯で食べ物を良く噛めるようになり、消化機能が整ってくる3歳ごろから食べさせましょう。
しかし、子供の発達には個人差があるため、子供の成長に応じて様子を見てチャレンジしましょう。
チャレンジする場合の目安は以下の通りです。
- お腹の調子や体調が良い
- 硬い食材も奥歯で良く噛んで食べられる
お腹の調子や体調が良く、お肉や根菜などの硬い食材も奥歯で良く噛んで食べられるようであれば、子供の状態に合わせて少量ずつ食べさせるのがおすすめです。
とはいえ、玄米は白米と比べ食感や匂いが気になる子供もいるでしょう。
五分つき米(精米時に糠の半分が除去された胚芽がほとんど残っている状態)や七分つき米(精米時に糠の約70%が除去された胚芽の一部が残っているる状態)にしたり白米と混ぜたりするのもおすすめです。
子供に玄米は危険?玄米を食べさせる時の注意点
玄米を子供に食べさせる時の注意点は以下の3つです。
- 便秘や下痢になる場合もある
- アレルギーが出ることもある
- 残留農薬の危険がある
玄米は大人にとっては身体によく、健康のためや美容、ダイエットにも注目されています。
しかし、子供の場合、便秘や下痢になってしまったりアレルギーが出てしまったりする場合があります。
また、玄米は白米と比べて残留農薬が多いため、心配な方は残留農薬のチェックがされた安心で安全な玄米を選びましょう。以下でそれぞれについて詳しく説明します。
便秘や下痢になる場合もある
玄米は食物繊維が豊富に含まれているため、便秘改善のためにも食べさせたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、玄米の食物繊維は不溶性食物繊維であるので、水分を多く摂らないと便が硬くなってしまい便秘になる場合があります。
便秘になった場合は玄米を食べる量を少なくしたり、水分を多めに摂取したりして様子を見ましょう。
反対に、玄米は消化・吸収があまり良くないため、大人と比べ消化器官が発達していない子供は消化不良を起こしお腹がゆるくなる場合もあります。
子供の発達に合わせて様子を見ながら食べさせましょう。
アレルギーが出ることもある
乳児期に注意したい3大アレルゲンの「卵・牛乳・小麦」の次に「大豆・米」もアレルギーの発症が多い食品となっています。
玄米は白米に比べるとアレルギーの抗原が高く、白米ではアレルギーが出なくても、玄米だとアレルギーが出る場合があるため注意が必要です。
子供の体調が良い日に少量ずつ食べさせて様子をみて、特に問題がなければ少しずつ食べる量を増やしましょう。
しかし、玄米は胃腸の負担になりやすいので食べすぎには気を付けてください。
残留農薬の危険がある
無機ヒ素などの残留農薬は糠(ぬか)や胚芽の部分に溜まりやすく、精米せずに糠や胚芽が残ったままの玄米には多く含まれている場合があります。
ヒ素はさまざまな食品に微量に含まれており、普段の食生活を送る上では問題ありません。
農林水産省の食品安全委員会でも、バランスの良い食事を心がけていれば、玄米やぬか漬けを食べても食事を通じてヒ素を摂取しても健康への問題はないとしています。
参考:農林水産省
しかし、子供に食べさせるならできるだけ安全で安心できるものを選びたいですよね。
米工房いわむろでは、できるだけ農薬や化学肥料を使わない栽培をしており、栽培期間中は農薬を使っていないため、ヒ素の心配はほとんどありません。
玄米の残留農薬が心配な方は農薬などを使っていない玄米や残留農薬の検査がされた玄米を選びましょう。
子供に玄米を食べさせる時の3つのポイント
玄米を子供に食べさせる時のポイントは3つあります。
- しっかりと浸水させる
- よく噛んで食べさせる
- 少しずつ食事に取り入れる
玄米をしっかりと浸水させることで美味しく炊けます。
また、玄米は白米に比べ硬いので消化・吸収しやすくするために、よく噛んで食べさせましょう。
そして、便秘や下痢になったりアレルギーが出たりする場合があることを理解して、様子を見ながら少しずつ食べさせるのがおすすめです。
以下でそれぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
①よく浸水させる
玄米は白米に比べて水を吸いにくいので、よく浸水させるのが美味しく炊飯するコツです。
6時間から一晩水に浸けておき、炊飯時には新しい水に替えて炊きましょう。
玄米は硬めの食感が特徴なので、最初は水を多めにして炊飯すると柔らかくなって食べやすくなります。
②よく噛んで食べさせる
玄米は白米に比べて硬く、噛み応えがあるため、よく噛んで食べる練習にも玄米は最適です。
食べさせる際にはよく噛んで食べるように声をかけましょう。
よく噛むことで、唾液の分泌を促し消化・吸収しやすくなるだけではなく、集中力・判断力・記憶力などの脳の活性化も期待できます。
③少しずつ食事に取り入れる
玄米は消化・吸収があまり良くないため、少しずつ食事に取り入れて様子をみましょう。
玄米粥にするとそのまま食べるよりも消化が良くなるため、身体への負担も少なくなります。
また、白米に少量ずつ混ぜたり、おにぎりやカレーライスなど子供の好みに合わせてメニューに取り入れていくのもおすすめです。
しかし、毎日食事に取り入れる必要はないので、無理に食べさせるのではなく子供の体調や様子をみて食べさせましょう。
子供も美味しく食べられる!玄米を使ったレシピ
栄養豊富な玄米を大人だけではなく子供にも食べさせたいですよね。子供でも美味しく食べられる玄米を使ったレシピを紹介します。
玄米の梅しそおにぎりのレシピ
おにぎりにすれば手軽に玄米を摂取でき、おやつや小腹がすいたときなどにもおすすめです。
材料(2人分)
玄米…1合
梅干し…2個
大葉…4枚
ごま…少々
塩…少々
- 梅干しは種を取り細かく刻む。
- 大葉を細かく切る。
- ボウルに炊いた玄米と①②とごま、塩を入れる。
- 混ぜ合わせて握ったら出来上がり。
玄米粥のレシピ
玄米の硬さが苦手な場合はお粥にすると食べやすくなりおすすめです。
材料
玄米
水(浸水用)
水(炊飯用)
- 玄米を流水ですすぎ水気をきる。
- ボウルに玄米と水を入れ3時間程度浸水させる。
- 水気を切り鍋に移し、水を入れ中火にかける。
- 沸騰したら弱火にし、40分程度煮る。
- 玄米の芯がなくなり柔らかくなったら火を止める。
- 盛り付けて出来上がり。
玄米の離乳食に関するよくある質問
玄米の離乳食に関するよくある質問をまとめました。以下で紹介していきます。
玄米粉は赤ちゃんに食べさせてもいい?
玄米粉は、赤ちゃんに食べさせるのは控えましょう。
粉状になっているので歯が生えそろっていない赤ちゃんにも食べさせて良いのではと思いますが、玄米は食物繊維が豊富なため消化器官が発達していない赤ちゃんには負担になってしまいます。
また、糠(ぬか)の部分にヒ素などの残留農薬が多く含まれており、残留農薬の心配もあるので食べさせない方が安心です。
玄米フレークや玄米食パンはいつから食べさせてもいい?
玄米フレークや玄米食パンも、玄米と同様に消化が良くないため、離乳食期の赤ちゃんや幼児食期の子供には負荷がかかります。
消化器官が発達する3歳頃から様子をみて食べさせましょう。
発芽玄米や雑穀米は赤ちゃんや子供に食べさせてもいい?
発芽玄米や雑穀米も消化器官が未熟な赤ちゃんや子供に食べさせるのは控えた方が安心です。
発芽玄米は玄米を発芽させたもので、発芽することで玄米の酵素が活性化され玄米よりも栄養価が高くなります。
雑穀米も白米に少量混ぜるだけで手軽に栄養を補えるため、できれば食事に取り入れたいところです。
しかし、玄米同様に食物繊維が多く消化・吸収があまり良くないため赤ちゃんの身体に負担となります。
発芽玄米や雑穀米も消化器官が整う3歳ごろから様子を見て少量ずつ食べさせましょう。
ロウカット玄米は赤ちゃんに食べさせてもいい?
ロウカット玄米は、赤ちゃんに食べさせても大丈夫です。
ロウカットとは、玄米の表面にある硬い「ロウ」の層を「カット」して(取り除いて)玄米特有の硬さや食べにくさが解消された玄米になります。
ロウカット玄米は、栄養価は玄米とほとんど同じで、白米と同じように柔らかく食べやすくなっています。
また、消化・吸収も良いため赤ちゃんにもおすすめです。
まとめ
玄米は鉄分やビタミン、ミネラルなどの栄養素を豊富に含み、食物繊維も多く含むため、健康や美容、ダイエットにもおすすめの食材です。
しかし、大人にとっては健康に良くても、消化器官が整っていない赤ちゃんや子供にとっては身体に負担がかかってしまいます。
子供に食べさせる時には、便秘や下痢になる場合やアレルギーのリスクがあることを念頭に入れ、消化器官が整ってくる3歳以降に少量ずつ様子を見ながら食事に取り入れましょう。
玄米を食べる際にはしっかりと浸水させて炊飯し、よく噛んで食べることが大切です。
しかし、子供にも好き嫌いがあるので苦手と感じるのであれば少量を白米に混ぜたり、好きなメニューに取り入れたり美味しく食べられる工夫をするのもおすすめです。
手軽に食物繊維や豊富な栄養素が摂取できる玄米を上手に食事に取り入れていきたいですね。
また、どうしても苦手な場合は無理に食べさせなくても大丈夫です。
必要な栄養素は玄米以外からも摂取できるので、食事を美味しく楽しんで食べることがなにより大切です。
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