玄米は英語で「ブラウンライス」と呼ばれ、健康効果の高さから国内外での評価が高まっています。
そんなニュースを見て玄米を取り入れたいと感じる方も多いはず。その一方、過去に食べた玄米が美味しくなかったり、世間から「玄米はまずい」「パサパサする」といった声が聞こえたりすることで、玄米から距離を置いている場合もあるかもしれません。
この記事では、以下のようなお悩みの解決方法をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
- 玄米はまずいと聞くので試すのが不安
- 玄米をおいしく炊くポイントを知りたい
- 玄米のおいしい食べ物を知りたい
玄米がまずいと言われる3つの理由
「玄米がまずい」という声をよく耳にします。人間の味覚は十人十色ですから、中には玄米の味を受け入れられない方もいるでしょう。
ただし、玄米の美味しさが十分に引き出されていない状態で食べている場合があるのも事実。いくつかの原因を改善すれば、玄米は劇的に美味しくなりますよ。
玄米がまずいといわれる以下の3つの理由をご紹介しながら、対処法も合わせてお伝えしていきます。
- 独特のニオイがする
- 白米のような甘みがない
- 玄米がパサパサしている
1.独特のニオイがする
玄米をまずいと感じる一つ目の理由は、玄米から独特のニオイがすることです。確かに玄米は、白米にはない「糠(ぬか)」という部分があることで特有のニオイがあります。今までずっと白米を食べてきた方にとっては、慣れないニオイで戸惑うこともあるでしょう。
玄米の糠(ぬか)や菌のニオイが原因の可能性も
玄米のニオイは、大きく分けて以下の4パターンが考えられます。
- 藁(わら)のようなニオイ
- 酸っぱいニオイ
- アンモニアのようなニオイ
- カビ臭いニオイ
藁のようなニオイが気になる場合、それは玄米の表面に付着している糠(ぬか)から漂う正常なニオイですから、ひとまず安心してください。洗い方や炊き方の工夫で解消できます。
玄米自体の鮮度が低かったり、悪くなっていたりする場合は、酸っぱいニオイやアンモニア臭、カビ臭さが発生します。特にカビが生えている場合は健康に悪影響があるため、思い切って処分しましょう。
また、玄米の浸水途中で酸っぱいニオイがすることがあります。これは玄米に付着していた乳酸菌や雑菌が繁殖したためで、洗い方や浸水方法の見直しによって改善できます。
玄米のニオイの対処方法
玄米のニオイの対処方法は次の3つです。
- 玄米をよく洗う
- 浸水の水を定期的に換える
- 炊飯時に塩やヨーグルトを入れる
まずは玄米をよく洗いましょう。玄米同士をこすり合わせたり、ザルに押し付けるようにしたりして洗うことで糠が少し落ち、藁のようなニオイが軽減します。
次に、浸水中は3時間に1回ほど水を換えましょう。玄米は白米に比べて長時間浸水しますので、その間に菌が繁殖してニオイが発生することがあります。浸水中のニオイが特に気になるという方は、少量の酢を加えて浸水すると菌が繁殖しにくくなるのでおすすめです。
炊飯時には、ひとつまみの塩や少量のプレーンヨーグルトを加えるのも効果的です。玄米のニオイを抑えつつ、甘みを引き出す効果があります。
【参考記事】
玄米の臭いはなぜ独特?解消する方法5選も紹介
2.白米のような甘みがない
玄米をまずいと感じる二つ目の理由は、白米のような甘みがないことです。口に入れてすぐに甘みを感じる白米に慣れている場合、玄米がまったく甘みのないものに思えて戸惑うことがあるといいます。
白米と玄米の違いとは?
確かに玄米は、白米と比べて甘みを感じにくい食べ物です。その理由を知るため、まずは白米と玄米の違いを確認するところから始めましょう。
玄米と白米は、元は同じもの。稲に実ったお米を刈り取り、籾(もみ)を取り除く「調製」という行程を経たものが玄米です。
玄米は外側から「糊粉層」・「種皮」・「果皮」・「ロウ層」といういくつもの層に覆われており、これらをまとめて糠(ぬか)といいます。糠の中心には「胚乳」があり、これが白米に当たる部分。玄米を精米して糠を取り除くことで白米ができます。
糠には食物繊維を始めとする豊富な栄養素が含まれていますが、糠自体には甘みがなく食感も硬いため、しっかり咀嚼してから体内に入れる必要があります。
噛めば噛むほど甘みが増す玄米
お米を食べて甘みを感じる理由は、唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」が咀嚼中にお米のデンプンを分解して「麦芽糖(マルトース)」にするためです。
白米は糠が取り除かれて、デンプンを多く含む胚乳がむき出しになっているため、唾液に触れるスピードが速く、そのぶん分解も早く進みます。
一方の玄米は糠が覆っている分、中心部の胚乳が外に出るにはしっかり咀嚼する必要があり、アミラーゼによる分解までに時間を要します。そのため、数回噛んだ程度では甘みを感じにくいのです。
玄米の甘みを感じるためには、しっかりと咀嚼することが重要です。噛めば噛むほど甘みが増す。玄米はそんな食べ物です。
3.玄米がパサパサしている
玄米をまずいと感じる三つ目の理由は、パサパサしていることです。
玄米は表面が糠に覆われているため、白米よりも粘りやしっとり感が少ないことは確か。
ただし、最適な方法で管理して炊き上げた玄米は、もちもちと瑞々しい味わいになるものです。玄米の扱い方に問題があると、パサつきを助長してしまうことがあります。
玄米のパサつきには、玄米自体、炊き方、炊いた後の保存方法のそれぞれに問題が潜んでいる場合がありますので、1つずつ確認していきましょう。
玄米が乾燥している
玄米自体が乾燥してしまっている場合、炊き上がってもパサつきが残ることがあります。
長くもつように思えても、玄米は生鮮品。日に日に鮮度が失われて乾燥が進んでいきますので、正しい保存方法を心がけましょう。
【関連記事】
玄米の賞味期限は?美味しさを維持するための保存方法
炊き方を間違えている
玄米の炊き方を間違えていることもパサパサ感の原因の1つ。
炊飯は、「浸水」から「蒸らし」までいくつもの工程を踏んで行うため、ところどころに注意すべきポイントが潜んでいます。
例えば以下のようなポイントです。思い当たるものがあれば、そこを中心に見直していくといいかもしれません。
- 浸水の時間が不十分
- 炊飯時の水の量が少ない
- 炊飯器の使い方が間違っている
- 土鍋などで炊く場合に火が強すぎる
炊いた玄米の冷凍保存を間違えている
玄米を多めに炊いて、冷凍保存しているご家庭もあるでしょう。冷凍保存の方法を間違えている場合も、玄米のパサパサ感につながります。
炊いた玄米は、蒸気とともに水分がどんどん失われていきます。温かい状態ですぐに1食分ずつラップに包み、水分の蒸発を防ぎましょう。
ラップに包んだ状態で粗熱を取ったら冷凍庫に入れますが、冷凍庫内は非常に乾燥していますので、ラップの隙間から水分が失われかねません。チャック付き保存袋や密閉容器に入れてから冷凍庫に入れるのがおすすめです。
玄米を美味しく炊く方法
玄米の管理がよくても、食べ方を改善しても、炊き方が間違っていると玄米は美味しくなりません。玄米の美味しい炊き方をチェックしていきましょう。
炊飯の仕組みは、生の玄米に含まれる硬い「βデンプン」が柔らかい「αデンプン」に変化するというもの。それには十分な水と熱と時間が必要です。
浸水は8~12時間おこなう
玄米を柔らかく炊き上げるには十分な浸水が重要。浸水は夏で8時間、冬で12時間を目安に行います。冷蔵庫内で浸水しながら、3時間に1回ほど水を換えましょう。
炊飯器で炊く場合は、浸水工程も炊飯コースに含まれていることがあります。炊飯器の説明書をよく読んで、記載どおりの手順で浸水してください。
炊飯時の水量をしっかり守る
炊飯時に適切な量の水を使うことも大切です。水が足りなければ玄米に硬い部分が残り、パサパサして甘みのない炊き上がりになってしまいます。
炊飯器の場合は、玄米用の目盛りまで水を入れましょう。玄米用の目盛りがない場合や、土鍋で炊く場合は、玄米の1.3~1.5倍ほどの水量を目安にしてください。
炊飯器は適切なモードで
炊飯器で玄米を炊く場合は、適切なモード選択も重要です。炊飯器の各種モードには、対応した食材を最適に炊き上げるための細かな設定がされています。玄米モードを選択して、玄米に適した炊き方をしましょう。
お手持ちの炊飯器に玄米モードがない場合は、より時間をかけて浸水し、先ほど紹介した水加減を守って炊くといいでしょう。
土鍋で玄米を炊いてみよう
玄米を土鍋で炊くと、火がじっくりと入って甘みが引き出され、おこげもできて香ばしい炊き上がりになります。炊き方はいたって簡単。一度チャレンジしてみてください。
【用意するもの】
- 土鍋
- 玄米(2合/3合)
- 水(500ml/750ml)
【炊き方】
- 玄米をあらかじめ洗って浸水させておきます。
- 玄米の水をしっかり切り、土鍋に入れます。
- 水を加えてフタをし、中火で沸騰するまで加熱します。15~20分ほどかかりますので、ときどきフタをとって確認しても問題ありません。
- 沸騰したら弱火にし、フタをしたまま25~30分加熱します。
- 火を止め、フタをしたまま10分蒸らします。時間になったらフタを開け、しゃもじで底から混ぜたら完成です。
【関連記事】
玄米を浸水なしで炊くとどうなる?危険性や「びっくり炊き」の方法も紹介
さらに玄米を美味しく食べるアイデア3選
玄米の楽しみ方は、何もそのまま食べるだけではありません。玄米のパラパラ感を生かしたメニューを試してみてはいかがでしょうか。玄米のニオイが気になる場合は、他の具材や調味料と合わせた調理方法がおすすめです。玄米の楽しみ方として、以下の3つのアイデアをご紹介します。
- 玄米に味を付ける
- 玄米をサラダの具材に使う
- 玄米に味の濃いもの・酸味の強いものを合わせる
1.玄米に味を付ける
一つ目のアイデアは玄米に味をつける方法。玄米特有のニオイが気になる方には特におすすめの方法です。ここでは2つのレシピをご紹介します。
- 玄米の五目炊き込みごはん
- 玄米とたまごのチャーハン
「玄米の五目炊き込みごはん」のレシピ
【材料】4人分
- 玄米…2合
- 水…作り方に記載
- 鶏もも肉…100g
- しめじ…50g
- にんじん…100g
- めんつゆ (2倍濃縮のもの)…大さじ2
- しょうゆ…大さじ2
- 料理酒…大さじ1
- 和風の顆粒だし…小さじ1
- 小ねぎ…お好みで使用
【作り方】
- 玄米は事前に洗い、十分に浸水しておきます。
- 鶏もも肉を小さめのひとくち大に切ります。にんじんは皮をむいて5mm幅のいちょう切りにし、しめじは石づきを除いてから手で小房に分けておきます。
- 炊飯器に、水・小ねぎ以外の材料をすべて入れます。入れ終わったら、内釜の「玄米」の目盛りまで水を入れます。土鍋で作る場合は、玄米2合分の水加減から60mlほど減らして水を入れます。
- 玄米のみを炊くときと同じように炊飯して蒸らします。
- 炊き上がったら全体をさっくりと混ぜて茶碗によそい、お好みで小口切りにした小ねぎをちらして完成です。
「玄米とたまごのチャーハン」のレシピ
【材料】2人分
- 炊いた玄米…300g
- たまご…2個
- サラダ油…大さじ1
- ごま油…小さじ1/2
- 醤油…小さじ2
- 小ねぎ…1/2本
【作り方】
- 小ねぎを小口切りにして、ごま油と醤油と一緒に混ぜておきます。
- フライパンを強火で熱し、溶いたたまごを入れます。
- たまごに1/3ほど火が通ったところで玄米を加え、全体を混ぜるように炒めます。
- 混ぜておいた小ねぎ・ごま油・醤油をフライパンに加え、全体を混ぜたら完成です。
2.玄米をサラダの具材に使う
二つ目のアイデアは、玄米をサラダの具材として活用する方法です。玄米の食感が生きるとともに、あっさりした味わいが野菜とマッチします。ご紹介するのは以下の2つのレシピです。
- 玄米のコブサラダ
- 玄米のクスクス風サラダ
「玄米のコブサラダ」のレシピ
【材料】4人分
- 炊いた玄米…200g
- 缶詰のコーン…120g(水分は含まず)
- ミックスビーンズ…120g(水分は含まず)
- アボカド…1個
- 赤パプリカ —1個
- ブラックオリーブ…20粒ほど
- コブサラダドレッシング…お好みの量
【作り方】
- 玄米は冷ましておきます。
- コーンとミックスビーンズの水気を切っておきます。
- アボカド・パプリカ・ブラックオリーブをスプーンですくえる程度の大きさに切ります。
- 全ての具材を彩りよくお皿に並べます。玄米で一列、コーンで一列、のように並べるとコブサラダの雰囲気が出ます。
- コブサラダドレッシングをかけて完成です。
「玄米のクスクス風サラダ」のレシピ
【材料】4人分
- 炊いた玄米…100g
- 玉ねぎ…1個
- パプリカ…1/2個
- キュウリ…1/2本
- ツナ…1缶
- オリーブオイル…大さじ4
- レモン汁…大さじ4
- 塩…小さじ1~(お好みで調整)
- パセリ…お好みで使用
【作り方】
- 玄米は冷ましておきます。
- 玉ねぎ・パプリカ・キュウリはみじん切りにします。
- ツナの油と水気を切っておきます。
- ボウルにパセリ以外の材料を入れ、彩りが均一になるまで混ぜます。
- お皿に盛り、お好みでパセリを散らして完成です。
3.玄米に味の濃いもの・酸味の強いものを合わせる
三つ目のアイデアは、玄米に味の濃いものや酸味の強いものを合わせる方法です。玄米のニオイが気になる場合、これらの食べ物と一緒に食べるとニオイが緩和されるほか、独特の風味が相性のいい組み合わせで食が進みます。
- カレー
- ぬか漬け
- 納豆
- 梅干し、梅干し味のふりかけ
- キムチ
【関連記事】
玄米の臭いはなぜ独特?解消する方法5選も紹介
まとめ
玄米をまずいと感じる理由はおもに以下の3つ。ただし、玄米の扱い方を見直すことで大幅に風味が改善し、玄米を美味しく味わえるようになります。
- 独特のニオイがする
- 白米のような甘みがない
- 玄米がパサパサしている
また、玄米の魅力は他の食材と組み合わせたり、アレンジに対応できたりするところにもあります。炊き込みごはんやチャーハン、サラダなどのメニューに取り入れるほか、味の強い副菜と合わせることでも美味しく食べられますよ。
この記事を参考に、これまで距離を置いていた玄米を見直し、美味しいと感じる食べ方を探してみるのはいかがでしょうか。
コメント